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院長ごあいさつ
Dr.前橋の「診療日記」
今月の健康アドバイス


「傷は消毒しない、乾燥させない!」

現代の傷の治療の基本ややラップ療法などについてお話します。
私はよく往診に出かけるのですが、寝たきりの患者さんは時々褥創(床ずれ)を作ります。床ずれはいつも同じ姿勢で寝ているために皮膚が圧迫されて死んでしまい、皮膚に傷ができた状態です。



この状態で、患者さんは毎日傷口を消毒し、ガーゼを貼っていました。ところが毎日処置をしてもだんだんと床ずれは悪くなっていきました。
そこで私が訪問したのですが、傷口に当てていたガーゼには緑色の膿が付いていおり、感染が疑われました。
私は傷口の消毒をやめてもらうようにし、かわりに水道水を入れた霧吹きでやさしく洗浄しました。
洗浄しますと緑色の膿ははがれて傷口のそこはきれいなピンク色をしていました(写真→)。
写真の穴のあいているところが傷口で(矢印)その左のピンク色のところが皮膚が薄くなって床ずれになりかけているところです。
そして、ガーゼを貼る代わりにラップで傷口を被い、ラップの周囲を絆創膏で固定しました。訪問看護婦さんにこの処置を毎日してもらうようにお願いし、看護婦さんが行けない休日はおうちの方にしてもらうようにしました。
この治療法により傷は1週間ほどで治ってしまい、担当した看護婦さんもびっくりするほどでした。
↓ラップ療法は下を参照ください。

この様なとき皆さんはどのようにするでしょうか。
「子供が転んで膝をすりむいた!」
「皮がベロンとむけてしまった!!」
あるいは病院に連れて行くと、どのような治療を受けるでしょうか。
1 消毒液で傷口を消毒する。
2 傷口をガーゼで被う。
とりあえずこれで帰らされ翌日来るように言われたりします。 先ほどの床ずれの患者さんも同じような処置を受けていました。
ところがこの様な治療法が間違いであることが最近わかってきました。なぜまちがっているのでしょうか。



皆さんが怪我をしたとき、とりあえず出血が止まった状態で傷口を見ると透明な汁がにじみ出ているのがわかると思います
この汁は傷口の皮膚の細胞から分泌される液で、傷を治すために必要な成分がぎっしりと詰まっています。そしてこの中には少々の細菌がいてもやっつけるだけのパワーが備わっているのです。
やけどをするとよく水ぶくれができますが、この水ぶくれの中の汁も同じような成分が詰まっています。ですから、水ぶくれもできるだけ破らない方が傷の治りが早くなります。
ところが消毒をするとばい菌を殺すだけでなく、消毒液によって皮膚の細胞もダメージを受け、傷を回復させるのに必要な液が出なくなります。
さらに乾いたガーゼで被うことはこの大切な液を吸い取ってしまいます。その結果、ガーゼの下の傷口は体が本来持っている回復力を発揮することもできず、わずかなばい菌にさえも負けてしまって感染を起こしてしまいます。


現代の傷の治療の基本は
1. 泥などの異物がついていれば水道水などでよく洗い落とす。
2. 傷は消毒しない。
3. 傷はしめった環境に置く。
ということです。
そして、しめった環境に置く方法のひとつとして始めにお話ししたラップ療法があり長野県の相澤病院の夏井 睦先生(http://www.asahi-net.or.jp/~kr2m-nti/wound/)や鳥谷部俊一先生(http://www1.neweb.ne.jp/wb/decubitus/)が提唱されている方法です。(図参照)
【 ラップ療法 】
傷になってしまった状態。


ラップでおおった状態。
傷とラップの間に分泌液がたまり、傷の治りが早くなる。
ガーゼでおおった状態。
傷とガーゼの間に分泌液がたまらない。

要するに、体の本来持っている治癒力を生かそうという治療法です。ただ、しめった環境を作るのは傷の状態や部位によっても異なり、一般の方が自分でするにはむずかしい面もあります。
当院は外科が専門ではありませんが、褥創治療などを通して怪我の治療も少しずつ行っています。治りにくい傷や寝たきりで床ずれでお困りの方は一度ご相談ください。
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